(1) 多様な仕事に触れる経験
1度、あなた自身の小学生・中学生時代を思い出してください。
当時、学校で習ったことを今どのくらい活かせていますか?
分かりやすいのは算数や国語でしょうか。
計算が苦手な人はお金の管理も苦労する可能性が高いですし、漢字が読めないと人よりも情報収集のスピードが遅れてしまいます。
このような基本的な教養がないと、大人になって困るのは明確でしょう。
このように生きていくうえで必要な学びもありますが、
問題なのは教養ばかりに時間を割いて、将来のキャリア(仕事)を見据えた授業がほとんどないことです。
一応、小学1年生から「キャリアパスポート」というプログラムはあるものの、
果たして本当に必要な知識や考え方が定着しているかというと疑問です。
例えば、日本FP協会が発表している「2021年小学生”将来なりたい職業”ランキング」は以下の結果でした。
順位 |
【男子】 |
【女子】 |
1 |
サッカー選手・監督 |
医師 |
2 |
野球選手・監督 |
看護師 |
3 |
医師 |
保育士 |
4 |
YouTuber |
イラストレーター |
5 |
ゲーム制作関連 |
教師 |
6 |
会社員・事務員 |
薬剤師 |
7 |
プロゲーマー |
美容師 |
8 |
建築士 |
パティシエール |
9 |
飼育員 |
獣医 |
10 |
料理人・シェフなど |
会社員・事務員 |
しかし実際は、ここに載っているもの以外にもたくさんの職業があります。
果たして子どもたちは、どれだけの仕事を知っている中で回答したのでしょう?
極端な話、もしベスト10の職業しか知らないとすれば、10個の中からしか選ぶことができません。
一方で300の職業を知っていれば、選択肢は300通りです。
この選択肢の多さによって、人生の幸福度は大きく変わると思いませんか?
私からすると今の日本教育は、社会人になることをイメージして多くの仕事に触れる経験が不足しているように感じるのです。
参考「日本FP協会:2021年小学生”将来なりたい職業”ランキング」
https://www.jafp.or.jp/about_jafp/katsudou/news/news_2022/files/newsrelease20220421.pdf
(2) マネー教育
「今の日本は金融教育が行き届いていない」というのも、よく言われます。
ようやく2022年4月から、高校の家庭科で「金融教育」が導入され、具体的には以下のことを学びます。
・家計管理
・ライフプランの設計
・社会保障
・主な金融商品の特徴
これで概要は掴めると思いますが、実体験に基づいていないと
本当の意味で人生に役立てることは難しいでしょう。
さらに、教育資金や老後資金などは「〇〇円必要」と明確にするのが難しく、なかなか自分ごとに考える機会が少ないのです。
マネーリテラシーが低いと、生きていく上で必要なお金は自分が労働して稼ぐしかない、という発想になりがちです。
このため、本当はやりたいことがあっても、それでは食べていけないと考えて他の仕事を選ぶなど、自ら働き方の選択肢を狭めているケースも多いのです。
せめて名著「金持ち父さん・貧乏父さんに登場する4つのクワドラント(ESBI)」
あたりは、小学生以上の人は全員理解しておきたいところです。
クワドラントを日本語にすると「四分円」で、ここにおける意味合いは「職業は4つのタイプに分かれる」ことを指します。
クワドラントの種類 |
特徴 |
E(Employee)従業員・サラリーマン |
労働力と労働時間を提供して収入を得る |
S(Self-employed)自営業 |
労働力とスキルを提供して収入を得る |
B(Business-owner)ビジネスオーナー |
ビジネスの仕組みを作って収入を得る |
I(Investor)投資家 |
お金に働かせて収入を得る |
「あなたは4つのうち、どの働き方を目指す?」と質問した時に、
理由も併せて答えられる状態が理想です。